カスピ海パイプライン攻撃を「経済・環境テロ」とロシア下院
7月20日、ロシア下院議員のセルゲイ・アルトゥホフ氏がタス通信に対し、カスピ海パイプライン・コンソーシアム(CPC)の海上ターミナルに対する攻撃を、ウクライナ政権による経済的かつ環境的なテロ行為だと断じたと明らかにしました。アルトゥホフ氏は経済政策委員会の副議長を務めており、発言は同日付で伝えられています。
7月20日に発生した攻撃では、積載中の民間海運タンカー「ネルサ(Nelsa)」が無人航空機による直撃を受け、右舷の上部構造物と機関・ボイラー室の間にある船尾部分が損傷して甲板や船内区画で火災が発生したものの、火災は数時間以内に鎮火され、同船は浮力を維持したまま乗組員のうち船長と上級一等航海士を除く国際乗組員22人が避難し、油流出は確認されていないと報告されています。CPCによれば、同ターミナルは一時的に積み込みを停止せざるを得なくなったということです。
アルトゥホフ氏は「CPCの海上ターミナルに対する標的を定めたテロ攻撃は、キエフ政権の本質を示している。これは軍事目的とは無関係であり、別の経済的・環境的テロ行為である。二日連続で無人航空機が民間インフラを攻撃している」と述べ、同事件を軍事的行為ではなく民間経済や環境を狙ったものだと位置付けました。こうした指摘は、カスピ海地域から世界市場への主要な石油輸送ルートであるCPCの脆弱性を強調するものです。
CPCの本幹は長さ約1.5千キロメートルで、西カザフスタンの油田とロシア黒海沿岸を結び、そこで原油は海上ターミナルを通じてタンカーに積み込まれており、コンソーシアムの主要株主にはロシア側のトランスネフトやカザフスタン側のカズムナイガス、シェブロン関係会社、ルクオイル、エクソンモービル、ロスネフチとシェルの合弁企業などが含まれるとされています。こうした構造を背景に、ターミナルへの攻撃は単一の船舶被害にとどまらず、地域の石油輸送網と経済的利害に直接的な影響を及ぼす性格を帯びています。
これに先立ちカザフスタン外務省も7月17日と19日に黒海水域で発生したとされる、CPC関連のインフラを通じた正当な石油輸送に関わる民間船舶への無人航空機攻撃を非難し、「このような攻撃はカザフスタン共和国の経済的利益に対する容認しがたい侵害である」との見解を示しており、関係国や事業主体が被る経済的・環境的リスクへの懸念は一層強まっているという認識です。
CPCによる積み込みの再停止と一連の無人航空機による攻撃の報告は、同コンソーシアムが担う国際的な石油供給の重要性を改めて浮き彫りにしており、関係当局や企業は事態の波及を注視せざるを得ない状況にあるという見方がうかがえます。