ホーム ロシア ロシア、2027〜2029年社会経済予測公表 成長回復と物価上昇織り込み

ロシア、2027〜2029年社会経済予測公表 成長回復と物価上昇織り込み

ロシア、2027〜2029年社会経済予測公表 成長回復と物価上昇織り込み

※本記事はTHE NEWSのアルゴリズムを用いて執筆されています。

この記事の概要

ロシア経済発展省が2027〜2029年の社会経済予測を公表。成長回復の見通しと同時に、ガス・電気料金や運賃の段階的な引き上げが織り込まれ、家計や企業の負担が鮮明化している。為替や石油価格の不透明さも残り、政策と市場の綱引きが今後の生活コストを左右しそうだ。この動きが意味するものとは。

ロシア、2027〜2029年の社会経済予測を公表—成長見通しとエネルギー価格上昇を織り込む

【本文}

ロシアの経済発展省は5月に、政府が検討した2027年および2028〜2029年の社会経済発展予測を公表し、成長率や物価、エネルギー供給の見通しを示しました。今回の予測は、成長の回復とインフレ上昇を同時に織り込んだもので、家計や産業の負担変化が鮮明になるとの見通しを示しています。

同省は失業率が2029年まで2.3%で推移すると見込み、名目・実質面では実質可処分所得が2026年に0.8%、2027年に2.1%、2028年に2.4%、2029年に2.7%と段階的に増加すると予測しました。こうした所得の回復見通しを受け、同省は2026年のインフレ見通しを従来の4%から5.2%へ引き上げる一方で、2027〜2029年は年率4%に据え置くとし、今年の経済成長率は0.4%になるとしています。

エネルギー部門については、ガス生産と輸出の増加が経済見通しを支える要因として位置付けられており、ベースラインではガス生産が2026年に688.4十億立方メートル(2025年662.7十億立方メートル)から2029年に750.4十億立方メートルへと増加すると見込まれています。パイプラインガスの輸出は2026年115.5十億立方メートルを維持したうえで、2027年125.5十億立方メートル、2028年125十億立方メートル、2029年127.5十億立方メートルへと拡大する見通しであり、LNG輸出は40.3百万トンで据え置かれる想定です。

価格面では、CIS諸国を含む平均契約価格が2026年に1,000立方メートル当たり約268.5ドル、非CIS諸国向けが同336.3ドルと見込まれており、欧州の平均ガス価格は2026年に432ドルとやや上振れするものの、世界のLNG増産見込みを踏まえ2029年にかけて低下するとしています。こうした見通しを背景に、卸売ガス価格は2026年10月1日からすべての消費者に対して9.6%の上昇が計画されているほか、2027年7月1日からは9.1%、2028年には7%の調整が見込まれ、ガス配給網を通じた輸送料金は2027年に卸売調整を上回る11.1%の引き上げが想定されています。

家計への直接的な影響としては、家庭用電気料金が2026年10月1日から11.3%、2027年7月1日から8.6%、さらに2028年7月1日から9.1%、2029年7月1日から5%と段階的に引き上げられる見込みであり、送電サービス料金も主要投資プロジェクトの実行を受けて2026年10月から16%、2027年7月から14.7%、2028年7月から12%、2029年7月から5.4%と調整される予定です。これに加え、規制対象の旅客鉄道運賃は2027〜2029年に年5.9%の調整、長距離旅客インフラサービスは年9.2%の調整が見込まれ、貨物鉄道運賃も2027年に8.3%、2028年に6.0%、2029年に4.9%と段階的な引き上げが計画されています。

国際収支と為替の見通しでは、同省は2026年の平均ドル為替レート見通しを従来の92.2ルーブルから81.5ルーブルへと下方修正したものの、2027年に87.4ルーブル、2028年に92ルーブル、2029年に96ルーブルへと再び上昇するとの予測を示しており、輸出入見通しでは2026年の品目別輸出額を4,315億ドルから4,422億ドルへ上方修正した一方で、2027年は従来の4,622億ドルから4,247億ドルへ下方修正しています。輸入額は2026年3,087億ドル、2027年3,221億ドル、2028年3,369億ドル、2029年3,533億ドルと見積もられています。

石油市場に関しては、ベースラインでブレント原油価格を2026年平均81ドル/バレルと見込み、2027年65ドル、2028年63ドル、2029年61ドルと下落するシナリオを提示しました。ウラル原油も2026年は59ドルと見込み、2027〜2029年は50ドルへ低下するとされ、石油輸出量はベースラインで2026年に2.8%増の2億3,720万トン、保守的シナリオでは同年2億2,360万トンにとどまるなど、価格下落を前提に量的調整も織り込まれています。生産面では石油とコンデンセートの生産が2026年にほぼ前年度並みの5億1,100万トンにとどまる見込みで、2027〜2029年には増加が見込まれるものの、前回予測比で下方修正が入っています。

同省の予測は、エネルギー収入に依存する経済構造の中で価格変動と物価上昇、為替の変動が家計や産業に直接的な負担として表れることを示唆しており、行政の料金調整や投資計画が今後の景気と生活コストに与える影響を改めて鮮明にした形です。経済発展省のシナリオは、成長ペースと物価・為替の均衡という前提の下で複数年にわたる調整を想定しており、政策運営と市場動向の互いの影響が注視されることになりそうです。

TH
THE NEWS 記者
THE NEWS 編集部 2026年5月13日
関連記事