トランプの北京訪問、安定と膠着を際立たせる
今週、北京訪問を終えて帰国したドナルド・トランプ大統領は、習近平国家主席との2日間に及ぶ首脳会談を経て、両国関係が安定回帰と深い膠着の双方を改めて露呈した形です。
トランプ氏はイーロン・マスクやNvidia幹部らを同伴して訪中し、ホワイトハウス筋によれば豪華な晩餐などの演出が行われた一方で、実質的な政策転換や抜本的な譲歩は示されず、市場向けに管理された限定的な成果にとどまったとの受け止めが広がりました。
ワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)のスコット・ケネディ氏は、昨年の強硬な通商アプローチからの相対的な後退を指摘し、「反革命が起きて我々は安定に戻った」との見方を示したうえで、米側にとって中国の重商主義的な貿易政策やインド太平洋における軍事力増強といった主要懸念がなお未解決のままであることを強調しました。
防衛民主主義擁護財団(FDD)のクレイグ・シングルトン氏も、サミットを「安定を映し出したが、膠着をそのままにした」と評し、実務的で市場に配慮した成果にとどまったことで現状の耐久力が試されるとの見方を示しました。
具体的には、Nvidiaの高度AIチップH200の中国販売に関する突破口は開かれず、議会の対中強硬派にとっては安堵材料となった一方で、トランプ氏がボーイングの中国向け200機売却を取りまとめたと述べた点はまだ確認されておらず、2017年訪中時のような大規模商談の成立には遠い実情が浮かび上がっています。
ホワイトハウス関係者は、トランプ氏が習主席との良好な関係を活用してボーイング機の販売や農産物の輸出拡大といった成果を持ち帰ったと主張した一方で、中国大使館のスポークスパーソンは両首脳の会談を「率直で、深刻で、建設的かつ戦略的」と評し、大国同士の正しい付き合い方を模索したと述べました。
また、非機微品の関税引き下げに向けた共同の仕組みとして新たな「貿易委員会(Board of Trade)」の設立が言及されたものの具体的中身は乏しく、元米通商代表部副代表代行のウェンディ・カトラー氏は、経済面での成果を「期待を大きく下回る」と切り捨てました。
人民大学の崔守軍教授は、今回のサミットが示したのは協調的な黄金時代への回帰ではなく、競争と不一致が長期化する現実の受容であると指摘しており、こうした情勢の下で秋に予定される習主席の相互訪問まで幾つかの商業案件が持ち越される可能性が残されている点が注目されます。