中央銀行の財政自主性巡る憲法改正案、上院委が採決を審議保留で延期
上院の憲法・司法委員会(CCJ)は20日、水曜日に共同の審議保留の申し出を受けて中央銀行(BC)に財政および予算の自主権を付与する憲法改正案(PEC)の採決を延期し、審議は来週にCCJの議題に戻る見込みとなったと発表しました。今回の延期は、与党基盤内の意見対立や文言修正の余地を踏まえたものであり、採決の先送りは改めて条文の整合性と政治的合意を図るための時間を確保する狙いがあります。
中央銀行は2021年に政府から管理運営上の自治を認められたものの、依然として連邦予算に依存して活動しており、PEC 65 de 2023はシニョラージェム(貨幣発行に由来する収入)を中央銀行が留保できるようにすることで、この自治を実質的に拡大することを目指しており、留保分は年間で数十億レアルに上ると見積もられているとされています。当初案は中央銀行を私法上の法人格を有する公企業へと変える趣旨を含んでいましたが、与党基盤の批判を受けて報告者である上院議員プリニオ・ヴァレリオ(PSDB-MA)は文言を修正し、組織の性格を「特別な性格を持つ公的実体」と分類する方向に改めた形です。
報告者は行政府側のさまざまな要求を受け入れた一方で、組織の性格だけは譲れないと強調しており、補完法は政府に提出させるとの姿勢を示したうえで、政府が補完法を提示する際にはAGU(連邦司法顧問局)の提案に従う考えを示しています。これに対しセルジペ州のPT党上院議員ロジェリオ・カルヴァーリョは別意見票を提出し、PEC 65が大統領の専属発議事項に該当するため違憲であると主張するとともに、中央銀行の法的性格を自治体的性格の公法人(autarquia)から特別な性格を持つ公的実体へ変更することに強く反対しており、当該機関の行為が行政機関的な性質を維持する観点から法的性格を保つべきだと訴えています。
PECはまた、中央銀行の職員を連邦の統一制度(公務員制度)から外して労働法典(CLT)に基づく一般の従業員へと移行させることを想定しており、この点について中央銀行職員全国組合(Sinal)は組合声明で強く拒否の意向を示しています。同組合はこの提案が中央銀行を国家から切り離し民主的統制を弱めることで金融システムの監督を脆弱化させ、支出の透明性を低下させ得ると警鐘を鳴らし、上級管理層への権力集中や職の創設・廃止が可能になる点を懸念材料として列挙しました。
中央銀行総裁ガブリエル・ガリポロは提案を擁護し続けており、同氏は機関が通常業務を行うのに十分な資源を確保できていないと訴え、やがて監督対象の選別を余儀なくされる事態が到来する可能性を指摘しました。総裁はここ10年で職員数が約1,200人から1,300人減少していると述べ、監督部門では今年に入って約100人の退職が見込まれており、人員が600人から500人へと減少する見通しであることを挙げて、人手不足が監督能力に直結するとの懸念を表明しています。
学界からはこの提案が中央銀行の予算上の自治を拡大することでいわば『私的化』を促進し、連邦予算へ移転されてきた収入を留保することが国に財政的コストをもたらす可能性があるとの指摘があり、カンピナス州立大学(Unicamp)の准教授ペドロ・パウロ・ザルス・バストスは報告者の文言修正が提案の核心を変えていないとする技術ノートを公表しました。バストスは公務員をCLTに移行させることが職員の安定性を損ない、金融機関に対する巨額の罰金を科す決定などを行う職員が政治的圧力にさらされやすくなる点を強く批判するとともに、中央銀行の財政持続性が名目金利や為替取引に依存する結果、金融政策と為替政策の間に利害対立を生じさせ得る危険を指摘しています。
専門家は国際準備高や為替スワップの負債ポジションなど中央銀行が保有する金融商品の規模を念頭に、ある政策の実行者がその金融商品の直接的受益者になってはならないとの懸念を表明しており、こうした議論を踏まえつつCCJが来週改めて審議に戻す見込みであることは、中央銀行の独立性と民主的統制のあり方を巡る国内論議を一層深める契機になると見られます。